消防設備点検と
防火設備定期検査の違い
消防法の「消防用設備等の点検」と、建築基準法の「防火設備の定期検査」は、名前は似ていますが別の制度です。 対象の設備・建物、点検する資格、時期、報告先を、法令の根拠とあわせて比べました。
消防設備点検は消防法の制度で、消火器・自動火災報知設備・スプリンクラー設備・誘導灯などの消防用設備等を点検し、消防長・消防署長へ報告します。
防火設備定期検査は建築基準法の制度で、防火戸・ドレンチャーなど火炎を遮る防火設備を検査し、特定行政庁へ報告します。
点検・検査できる資格も別です。消防設備士・消防設備点検資格者の資格では、防火設備の定期検査はできません。
比べてみると
| 消防用設備等の点検 | 防火設備の定期検査 | |
|---|---|---|
| 法律 | 消防法 第17条の3の3 | 建築基準法 第12条第3項 |
| 対象の設備 | 消防用設備等(消火設備・警報設備・避難設備、消防用水、消火活動上必要な施設。消防法施行令 第7条) | 防火設備(防火戸、ドレンチャーその他火炎を遮る設備。建築基準法施行令 第109条)。常時閉鎖している防火戸など、国土交通大臣が定めるものは除きます |
| 対象の建物 | (20)項を除く防火対象物(消防法施行令 第36条第1項)。消防設備士・点検資格者が点検しなければならない建物は同条第2項 | 劇場・病院・ホテル・共同住宅・学校・百貨店などの特殊建築物のうち、建築基準法施行令 第16条第1項に当たるもの。ほかに特定行政庁が指定するもの |
| 義務を負う人 | 防火対象物の関係者(所有者・管理者・占有者) | 所有者(所有者と管理者が異なるときは管理者) |
| 点検・検査する人 | 消防設備士・消防設備点検資格者(消防法施行令 第36条第2項に当たる建物の場合) | 一級建築士・二級建築士・防火設備検査員(建築設備と一体で検査する一部の防火設備は、建築設備検査員も) |
| 時期 | 機器点検6か月ごと・総合点検1年ごと。報告は特定防火対象物が1年に1回、それ以外が3年に1回 | おおむね6か月から1年までの間隔で、特定行政庁が定める時期に報告(建築基準法施行規則 第6条) |
| 報告先 | 消防長または消防署長 | 特定行政庁 |
国・都道府県・建築主事を置く市町村が所有・管理する建築物の防火設備は、特定行政庁への報告ではなく、 その機関の長などが建築士・建築設備等検査員に定期に点検させる仕組みです(建築基準法 第12条第4項)。
防火設備の定期検査が要る建物
建築基準法 第6条第1項第1号の特殊建築物(別表第一の用途に使う部分の床面積の合計が200㎡を超えるもの)のうち、 次のどれかに当たる建物に設けた防火設備が対象です(建築基準法施行令 第16条第1項・第3項第2号)。
| 根拠 | 建物 |
|---|---|
| 第1号 | 劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場など(別表第一 (一)項)の用途を、地階または3階以上の階に使うもの。または、その用途の客席の部分の床面積の合計が100㎡以上のもの |
| 第2号 | 劇場・映画館・演芸場で、主階が1階にないもの |
| 第3号 | 病院・診療所(患者の収容施設があるもの)・ホテル・旅館・下宿・共同住宅・寄宿舎など(同 (二)項)、百貨店・マーケット・展示場・キャバレー・ナイトクラブ・バー・ダンスホール・遊技場など(同 (四)項)の用途に使うもの |
| 第4号 | 学校・体育館など(同 (三)項)の用途を3階以上の階に使うもの。または、その用途の部分の床面積の合計が2,000㎡以上のもの |
避難上著しい支障が生ずるおそれの少ないものとして国土交通大臣が定める建物は除かれます(同条第1項かっこ書)。 これ以外の建物でも、特定行政庁が指定すれば対象になります(建築基準法 第12条第3項)。指定の内容は、所管の特定行政庁にご確認ください。
防火設備の定期検査ができる資格
防火設備の定期検査ができるのは、一級建築士・二級建築士と、建築設備等検査員の資格者証を持つ人です(建築基準法 第12条第3項)。 消防設備士・消防設備点検資格者は、この中に入っていません。
建築設備等検査員の資格者証は、建築設備検査員・防火設備検査員・昇降機等検査員の3種類です(建築基準法施行規則 第6条の5)。 防火設備を検査するのは防火設備検査員です。ただし、建築設備と一体で検査するのが合理的なものとして国土交通大臣が定める防火設備は、 建築設備検査員が検査します(同 第6条の6)。
資格者証は、国土交通大臣の登録を受けた講習を修了するなどして交付されます(建築基準法 第12条の3)。
消防の点検業者が防火設備の定期検査も請けるには、消防設備士などの資格とは別に、この資格者証を持つ人が要ります。
両方を請ける会社の予定を、1つの表で組むなら
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ただし、契約の内容を「それ以外」にすれば、防火設備の検査や電気・空調の仕事も、消防の点検と同じ予定管理表で組めます。 その業務には、消防の点検票と資格の警告は出ません。
Abancia Field を見る関連するツール
- 消防設備点検の周期と報告の時期 早見表
- 消防設備と点検できる資格の早見表
- 消防用設備等点検結果報告書の書き方(別記様式第1〜3)
- 消防設備点検票 38様式の一覧
- 消防設備士・点検資格者の講習期限の計算ツール
- 消防設備点検をExcelで管理する方法(講習期限の管理表つき)
- 消防設備点検の年間スケジュールの組み方
出典
- 消防法(e-Gov 法令検索) ― 第17条の3の3(点検と報告の義務)、第2条第4項(関係者)
- 消防法施行令(e-Gov 法令検索) ― 第7条(消防用設備等の種類)、第36条(点検を要しない建物・有資格者が点検する建物)
- 建築基準法(e-Gov 法令検索) ― 第6条第1項第1号、第12条第3項・第4項、第12条の3、別表第一
- 建築基準法施行令(e-Gov 法令検索) ― 第16条(定期検査の対象)、第109条(防火設備)
- 建築基準法施行規則(e-Gov 法令検索) ― 第6条(報告の時期)、第6条の5・第6条の6(建築設備等検査員の種類と検査できる設備)
最終確認日:2026年10月4日。 法令の改正により変わることがあります。報告の月や提出の方法など細かな扱いは、所管の特定行政庁・消防本部の案内をご確認ください。